概要
1972年9月の『必殺仕掛人』に始まり、1987年9月に、強力な裏番組の台頭に伴う視聴率低下により、レギュラー放送を一時中断したが、朝日放送開局記念番組|開局40周年記念作品として放送された1991年10月の『必殺仕事人・激突!』で復活。1992年3月に放送終了し、作られたシリーズは現在まで計30作品にのぼる。シリーズの基本的なコンセプトとしては、金銭をもらって、弱者の晴らせぬ恨みを晴らす殺し屋(裏稼業)たちの生き様を描いている。登場する主人公側の殺し屋たちの多くは、他の時代劇で見られる、困っているものを放ってはおけないという義理人情で動く(殺しをする)ことはなく、あくまで仕事と割り切っている。そのため自らの立場を「正義」と標榜せず、「悪に対する悪」と捉えているが、中には影ながら依頼人や市井の人に同情し加担する人物もおり、彼らがグループ内で対立したり、ジレンマに悩まされたりする場面が描かれることもある。緒形拳演じる藤枝梅安をはじめ、山崎努演じる念仏の鉄、沖雅也演じる棺桶の錠と市松、藤田まこと演じる中村主水、三田村邦彦演じる秀|錺職人の秀、中条きよし演じる勇次 (必殺シリーズ)|三味線屋の勇次、京本政樹演じる組紐屋の竜、村上弘明演じる政_(必殺シリーズ)|鍛冶屋(花屋)の政などが人気を呼んだ。また、シリーズ前半に見られた既存の時代劇にない思想や手法、シリーズ後半に見られた風刺性や華麗な殺しのシーンが、それぞれ話題となった。シリーズ前期のレギュラー俳優の多くはなぜか後期には出演していない。
番組構成
全シリーズほぼ一貫しており、オープニングナレーション〜導入部〜タイトル・サブタイトル→(スポンサー紹介・コマーシャルメッセージ|CM)→Aパート→(CM)→Bパート→(CM)→Cパート〜エンディング→(CM)→次回予告→(スポンサー紹介) という流れであるTVシリーズ最終作『激突!』ではCMの回数が増やされ、導入部が最初に流されるなど構成が若干変わっていた。導入部〜オープニングナレーション〜タイトル・サブタイトル→(スポンサー紹介・CM)→Aパート→(CM)→Bパート→(CM)→Cパート(CM)→Dパート→エンディング→(CM)→次回予告→(スポンサー紹介)という流れ。またエンディングの前の「終」の画面がない。。前期のシリーズではA・B・C各パートはほぼ同じくらいの長さだったが、中期以降はBパートの時間を削ってAパートを長めに取るようになった。『必殺仕置人』から『翔べ! 必殺うらごろし』までは、必ずといっていいほどエンディングのナレーションが放送された(ただし『新必殺からくり人』第一話のみ、オープニングナレーションが流れない)。中には前述の『新・必殺からくり人』第1話や『必殺剣劇人』第1話(オープニングナレーションが通常の回より長く、導入部がない)のような例外もある。テレビ東京系列の時代劇アワーで必殺シリーズが再放送される際は、Aパートを二つに分け、CMの回数を増やしている。初期の『必殺仕掛人』から『必殺仕置人』、『助け人走る』、そして『暗闇仕留人』までのオープニングとエンディングのナレーションは、「世の中、悪がはびこり、人々が困っている」→「その恨みを晴らす裏稼業があり、仕掛けて仕損じなし」→「この裏稼業は口外法度で、『江戸職業づくし』や記録、古文書などには記されていない」といった仕置人たちに関する説明のような内容になっている。『仕事屋』あたりから裏稼業に生きる者の運命や覚悟などになり、中期から後期までは仕事の依頼の言葉や前期に似た裏稼業の説明になり、それも『仕事人』あたりからは本来やたらとあるはずがない「仕事人による自己PR」のような内容が増えている。特に前期から中期までの必殺シリーズでは、本編出演者ではないが、同じシリーズの前後の作品の主演者がOPナレーションを担当することが多かった。
ただ、あくまでもOPのみの扱いあるため本編や次回予告では別人のナレーターが担当。
シリーズ後期では主要出演者が話の内容を説明した後に、「時代劇は、必殺です。」のフレーズで締めくくり、その後に「製作トピックス」というミニ枠を設けていた。
殺し技
『必殺仕掛人』の藤枝梅安のように医者が医学の知識と技術で殺し屋となる設定は、按摩骨接ぎの鉄、やいとや又右衛門、蘭法医の鳴滝忍に受け継がれた(高野長英と西順之助も医者だったが殺し技はそれぞれ剣と銃らしきもの)。針状の武器も後の作品で応用され、煙管の吸い口や手鏡の柄に仕込んだ針、竹串、簪、仕込み矢立て、尖らせた枝、南京玉簾、金属製の折鶴などに変形した。また、梅安の坊主頭の風貌は辻平内、大吉、印玄、後期の畷左門に受け継がれ、鍼でツボをつく技は指による骨はずしを経て怪力坊主の力技に発展し、力技は医者でも坊主頭でもない島帰りの龍(宮内洋)や若(和田アキ子)、壱(柴俊夫)、清吉(誠直也)にも受け継がれている。更にシリーズを重ねると、三味線の撥(山田五十鈴が演じた各仕事師など)、大道芸の火吹き、三味線の弦を絡ませて首を吊る、果ては催眠術、ポッペンなど、常識では凶器とは考えられない物を用いた奇想天外な殺し技も飛び出し、これらはいずれも必殺の特徴となった。一方で、こういった奇抜な演出とバランスを取るように、仕掛人・西村左内のような剣を使う立ち回りも受け継がれ、『必殺仕置人』の中村主水、『助け人走る』の中山文十郎、『新・必殺からくり人』の高野長英、『必殺仕事人』初期の畷左門、『必殺仕舞人』の直次郎が時代劇の本道ともいえる剣戟を見せた。特に主水の仕事が静かな暗殺剣になった後期『仕事人』シリーズでは、滝田栄の演じた清川(または清河)八郎、千葉周作、平田深喜(平手造酒)、山田浅右衛門|山田朝右衛門といったキャラクターが豪快な剣捌きを見せた。例外的に梅安(仕掛人19話)と島帰りの龍(助け人36話)、政吉(仕事屋6話)、夢屋時次郎(からくり人4話)、新次(商売人26話)、秀(映画『裏か表か』)が刀を使ったこともある。飛び道具は暗殺に向いている武器であるにもかかわらず、「自分の体を傷つけるリスクが低いから卑怯」というイメージが強かったからか、必殺シリーズでは主役側で武器としている者は少なく、主なところでは『からくり人血風編』土左ヱ門(山崎努)、『新仕置人』巳代松|鋳掛屋の巳代松(中村嘉葎雄)、『仕事人V旋風編』西順之助(ひかる一平)、『仕事人・激突!』夢次(中村橋之助 (3代目)|中村橋之助)くらいである。その上一発しか撃てない(例外的に映画「必殺5黄金の血」で山本陽一が演じた夢次の銃は小型機関銃になった)、射程距離が短いなど様々な制約がある場合が多く、土左ヱ門のように遠距離から連射で撃ち込める飛び道具を扱う者は例外的である。『仕置屋稼業』で津川雅彦が演じた鳶辰や『新・仕置人』の外道仕置人など、飛び道具は悪人が使うケースの方が多い。『仕事人大集合』では、銃殺された鹿蔵の恨みを晴らすため、おりくが「やぼな殺し方はしたくはないが」と断って銃を使っていた。特殊な例としては、『暗闇仕留人』の貢が三味線の撥をブーメランのようにして投げたり、『仕置屋稼業』の市松が折鶴に竹串を仕込んで投げたりした事もある。『必殺仕事人2007』より前に制作されたシリーズでは毒を使う仕事師は一人も現れていない。これは『仕事屋稼業』での半兵衛の殺し技(どこにでもあるような剃刀で頸動脈を切る)が生々しすぎるとして非難を受けた経験などから、比較的簡単に真似が出来たり、真似ることで重大な結果を招きやすい殺し技を制作側が意図的に避けるように心がけたものである。しかし新作『必殺仕事人2007』では、松岡昌宏演じる経師屋の涼次が、筆に仕込んだ毒公式サイトなどでは「毒」という表現は避けられ「特殊な液体」とされていた。を用いて殺しを行っている(ただしその描写は奇抜なものであり、真似る事は到底不可能である)。
時代設定
(おおおよそ、設定された時代順)
助け人走る
必殺忠臣蔵(『旋風編』のメンバー)
三日殺し軍団(長谷川平蔵登場)
必殺仕掛人
必殺仕業人(初回脚本段階の設定←山田誠二『必殺シリーズ完全百科』82ページ)
助け人走る
必殺仕事人V・旋風編(第7話「主水、せん、りつ、ダブルベッドに寝る」、オランダ人から主水への賞状)
必殺仕事人2007(冒頭の字幕によると文政3年2月14日から話が始まる)
必殺! III 裏か表か(『必殺仕事人V・激闘編』のメンバー)
勢ぞろい仕事人!(シーボルト事件)
必殺からくり人(鼠小僧処刑〜蛮社の獄)
必殺仕事人V・激闘編(第17話、1835年ハレー彗星接近)
必殺まっしぐら!(第8話「相手は大阪の大塩平八郎」)
必殺仕置屋稼業
必殺仕業人(赤井剣之介の人相書き)
新・必殺仕置人(第32話「阿呆無用」内の記述より)
仕事人vsオール江戸警察(鳥居耀蔵、天保の改革)
仕事人アヘン戦争へ行く
必殺仕舞人および『新・必殺仕舞人』(『仕舞人』の1年後)
必殺渡し人(1843年の玉屋の失火)
仕事人意外伝(利根川、1843年〜1844年ごろ)
新・必殺からくり人・東海道五十三次殺し旅(高野長英脱獄)
必殺! 主水死す(葛飾北斎没年、1849年)
暗闇仕留人(黒船来航)
必殺仕事人ワイド 大老殺し(桜田門外の変)
大暴れ仕事人! 横浜異人屋敷の決闘(清川八郎浪士隊)
必殺! ブラウン館の怪物たち(徳川慶喜就任)
必殺からくり人・血風編(鳥羽・伏見の戦い)
仕事人意外伝(主水、第七騎兵隊と闘う)
必殺現代版
世にも不思議な大仕事
主題歌・挿入歌
全体的に、作品との関連から悲哀、孤独、旅、望郷、風、過去との決別などを歌った曲が多い。主題歌が流れる際の映像は、昇る朝日か沈む夕日、夜の水面や入り江、空を飛ぶ鳥たち、または本編の登場人物の映像などが多かった。スペシャル版では京都の風景や富士山が出たこともある。山下雄三が歌った第1作『必殺仕掛人』の主題歌「荒野の果てに」はシリーズ全体の共通のテーマ曲となり、スペシャル版ではこのほか『仕置人』の主題歌・「やがて愛の日が」や『新仕置人』の主題歌「あかね雲」も流用された。大ヒットした「旅愁」は意外と『仕留人』以外の使用がほとんどなく、それだけに作品とのイメージの結びつきが強くなった。「荒野の果てに」「やがて愛の日が」は『仕事人V激闘編』の際に京本政樹らの手によって殺しのテーマのウエスタン調で新録音されたものがあるが、ドラマの中では「荒野の果てに」が一度使われただけでこの新録音版はほとんど未使用のままに終わった。主題歌はメロディーが「仕置のテーマ」と同じである点が魅力だが、例外的に仕置きのテーマにならなかった主題歌がある。それらは『新からくり人』の「惜雪」(みずきあい歌唱)、『まっしぐら!』の「ゆれる…瞳」(三田村邦彦歌唱)、『剣劇人』の「ついてゆきたい」(テン・リー歌唱)、『仕事人・激突!』の「月が笑ってらぁ」(藤田まこと歌唱)、映画・「必殺!主水死す」の「哀しみは花びらにのせて」(葛城ユキ歌唱)、映画「必殺!三味線屋勇次」の「あの日の嘘のつぐないに」(中条きよし歌唱)。これらの主題歌の楽器演奏版は「仕置きのテーマ」としての使用ではなかった。『新からくり人』と『激突!』の音楽は必殺サウンドの集大成のような雰囲気で、仕置き場面ではシリーズ共通のテーマ曲といえる「荒野の果てに」を使っている。『まっしぐら!』では後期にはめずらしいアップテンポの主題歌だったが、仕置きの場面では『仕事人V』の出陣の曲と『新仕置人』などで使われたバラード曲を流用。『剣劇人』は作品自体がそれまでの時代劇のパロディのような「お遊び」的なものなので、必殺のコンセプトから逸脱していることもあり、主題歌は前作『風雲竜虎編』の挿入歌の流用で、仕置きの音楽はあくまで立ち回りに合うBGMを独自に作ったものだった。前期では西崎緑|西崎みどりや川田とも子など、主題歌を歌う歌手が本編にゲスト出演することがあった。中期から和田アキ子、三田村邦彦、鮎川いずみのように主演者が主題歌を歌うことが増え、本田博太郎、西崎みどり、中村雅俊、中条きよし、藤田まことに至る。前期のように出演者ではないプロの歌手が主題歌を歌う例は中期の小林旭、金沢明子以降はしばらく途絶え、後期必殺では藤田絵美子(藤田まことの実娘。現在はゴスペルシンガー・EMIKOとして活動中)で復活し、川中美幸、テン・リー、そして葛城ユキまで続く。彼(女)らの歌った主題歌は独立した歌謡曲としても知られている。出演者で挿入歌を歌ったのは火野正平、三田村邦彦、中条きよし、京本政樹、西崎みどり、梅沢富美男、麻丘めぐみ。前期の出演者として常連だった中尾ミエと後期によく出演した西郷輝彦も歌手だが主題歌は歌っておらず、OPナレーションを担当した宇崎竜童と桜田淳子も歌手でありながら主題歌は歌っていない。必殺のOPナレーション、主題歌、主演を3つとも担当しているのは藤田まことと中条きよしの2人だけで、中条は挿入歌も歌っている。『必殺仕事人』シリーズで主題歌が鮎川いずみ、出陣の挿入歌で中条きよしの歌がかかるようになった当時、新聞のテレビ欄の投書で「(中条の歌唱力をほめて)さすが歌手」という賞賛とも皮肉ともとれる声が掲載された。主題歌の作曲を含め、音楽はもっぱら平尾昌晃が担当したが、中期〜後期の一部の作品の主題歌は別の作曲家による。『商売人』と『富嶽百景』では平尾が一時、必殺から離れていたため、劇伴の音楽も含めて森田公一が、『うらごろし』では劇伴音楽を比呂公一(植木等の実息)が、主題歌を浜田省吾が担当した。後期では小坂明子(「あなた_(小坂明子の曲)|あなた」で有名)、竜崎孝路、三木たかし、宇崎竜童、京本政樹、黒住憲五、浜圭介、たきのえいじ作曲の歌も主題歌・挿入歌に使われた。『仕事人・激突!』の主題歌で藤田まことが歌った「月が笑ってらぁ」は藤田主演の現代劇『はぐれ刑事純情派』の数多くの主題歌と同様、堀内孝雄の作曲。必殺よりは『はぐれ刑事純情派』のエンディングに近い味を出している。後期では主題歌・挿入歌以外の新曲が作られることは少なくなり、劇伴音楽はそれ以前のシリーズからの流用を中心として不足分のみ新たに作曲するという手法が多くなっている。また、『渡し人』以降は、作品によっては中村啓二郎や京本政樹、大谷和夫らが新たに劇伴音楽を手掛けているが、いずれも映像にはクレジットされず、平尾の単独名義となっている。
テレビ放送
シリーズ作の放映時間帯はテレビ局にとって、ゴールデンラインといわれている曜日に当たり、TBSテレビ系列で放送されていた時代は、『海のトリトン』(すぐ後に『ど根性ガエル』→『ギャートルズ|はじめ人間ギャートルズ』)→『お笑い頭の体操』(朝日放送では『部長刑事』)→『8時だョ!全員集合』→『キイハンター』(後に『アイフル大作戦』→『バーディー大作戦』)→必殺シリーズという流れになっていた。テレビ朝日系列で放送されていた時代は、『ドラえもん (1979年のテレビアニメ)|ドラえもん』(以前は『ハロー!サンディベル』←『魔法少女ララベル』←『花の子ルンルン』←『キャンディ・キャンディ』←『マシンハヤブサ』←『勇者ライディーン』)→東映メタルヒーローシリーズ(後に『宇宙船サジタリウス』。以前は『ハロー!サンディベル(枠移動)』←『レッドビッキーズ|それゆけ!レッドビッキーズ』←『燃えろアタック』←『レッドビッキーズ|がんばれ!レッドビッキーズ』←
『ロボット110番』←『がんばれ!!ロボコン』)→『ワールドプロレスリング』(後に『ミュージックステーション』)→ 『ザ・ハングマン』あるいは『赤かぶ検事奮戦記』(以前はABC&テレパック制作のドラマ←千葉真一主演の東映&ジャパンアクションエンタープライズ|JACのアクションドラマ)から必殺シリーズという流れになっており、他系列にとって脅威となっていた。